「多元化する中東投資」
このシリーズでは、中東の各法域の経済発展について簡単に紹介してまいります。
オフショアとしての特徴や活用法については別の機会に触れます。
初回はドバイについて。
ドバイは、アラブ首長国連邦ドバイ首長国最大の都市。
中東といえばオイルマネー、オイルマネーといえばドバイ、というイメージがあるかもしれませんが、ドバイは中東地域では比較的石油産出量が少なかったため、最も早く経済の石油依存脱却を進め、最も成功した都市になります。
1970年代から、自由貿易ゾーン(Free Zone)の設立、外資への開放、寛容な金融規制、インフラ整備、観光業の発展、都市開発、マーケティングなど、多岐にわたる力強い施策を推し進め、その結果、中東のビジネスハブとしての地位を確立しました。
特に不動産産業と観光産業へ注力したおかげで、世界で最も豪華で、最も先端的な都市としてのイメージを確立し、海外資本と海外人材を引き寄せることに成功しました。
資本と人材が集まれば、金融産業が発展します。
ドバイ国際金融センター(DIFC:Dubai International Financial Centre)には、世界上位20の銀行のうち17行、上位30のグローバルでシステム的に重要な銀行のうち25行が拠点を構えており、地域内の金融機関の集積地として、銀行業、資本市場、資産管理、法律事務所、会計事務所など、多岐にわたる事業成長に不可欠なサービスを提供しています。
さらに、フィンテックやイノベーション分野の企業も増加しており、これがドバイ経済の新たな成長エンジンとなりつつあります。
その一方で、外国人労働者の待遇と人権問題、環境汚染と資源枯渇、バブル経済と金融犯罪といった社会問題も深刻化しています。
経済的な繁栄が、社会の豊かさに質的転換するまで、もう少し年月を要しそうです。